これまで、第1回・第2回・第3回の3回に渡って、和製記号の意味を解説をしてきました。
今回は備考として、和製記号に関連する情報や注意事項を記載します。
備考1. 調をアルファベットで略記
備考2. V7とVIIの区別
備考1. 調をアルファベットで略記
このブログの他記事(例)でもそうですが、「へ長調」や「ニ短調」などを、「F」「d」などのアルファベットで略記することがよくあります。
この場合、主音をアルファベットの種類で、長調/短調を大文字/小文字で表します(※1)。
主音については以下の通り、ドレミファソラシド(日本語のハニホヘトイロハ)を表す記号がドイツ語でCDEFGAHCなので(※2)、例えばト長調ならG・ト短調ならgとなります。
イタリア語 ドレミファソラシド
日本語 ハニホヘトイロハ
ドイツ語 CDEFGAHC
(英語) CDEFGABC
また主音について、#(シャープ,嬰)だとis、♭(フラット,変)ならesを追加します。
例えば嬰ハ長調ならCis、変ト長調ならGesです。
ただしEes,Aes,Hesになってしまう場合は、それぞれEs,As,Bと表記します(※3)。
※1 これ以外にも、C dur/C moll または C major/C minor (それぞれドイツ語または英語での、ハ長調/ハ短調)という記載で、長調/短調を表す場合もあります。
※2 英語だとCDEFGABCなので、ロ長調をBで表す場合もあります。
※3 ※2と関連しますが、Bはドイツ語では変ロ音(♭シ)、英語ではロ音(シ)なのです。
Bと書いてある場合はとてもややこしいのですが、音符と照らし合わせて言語を判断ください。
備考2. V7とVIIの区別
既にお気づきの人がいるかもしれませんが、V7とVIIの音は同じです。
実際にこの音が出てきたら、どちらだと解釈すれば良いのでしょうか?
結論から言うと、ほぼV7(Vの派生和音)と考えて差し支えありません。
逆にVIIと解釈すべきなのは、対象の和音を挟んで規則的に3和音の進行が繰り返されるような場合(例:IV→I→III→VII→II→VIなど)のみかと思いますが、ほとんどないと思います。
いかがでしたでしょうか。
和声記号の解説記事はここまでです。
お読みいただき、ありがとうございました。
■実際の曲での和声分析例
・「インベンション 第4番 BWV 775」(バッハ 作曲)
・「花のワルツによるパラフレーズ」
・「ソナチネ 第1楽章」(ラヴェル 作曲)
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