※これまでの記事
1stステージ前半(藤崎マーケット、ジャングルポケット、さらば青春の光、コロコロチキチキペッパーズ、うしろシティ)
※補足はこちら(本ブログ内の、お笑い賞レース感想&個人的採点全般についての補足)
1stステージ後半(バンビーノ、ザ・ギース、ロッチ、アキナ、巨匠)
⑥バンビーノ「魔法」 87点
(審査員: 設楽90 日村89 三村93 大竹93 松本90)
全体的に静かな雰囲気だったが、その中に練り込まれた笑いがあり、「ただ大声を出して盛り上げる」だけではない、笑いとしての質の高さを見た。
また、実は掛け合いの難度は高いはずのネタだったが、タイミングは完璧で技術も見せつけた。
そして、非常に安定して笑いもとれていた。
上述の通りほぼ文句なしだったが、コロコロチキチキペッパーズのような爆発がなかったことだけが悔やまれた。
ただ、まだ1本目が終わっただけの折り返しであることを考えると、このぐらい安定感のあるネタで上位につけておき、2本目爆発して優勝を狙うという手はある(前例は2009年の東京03)。
そのため、彼らとしては十分想定内の位置なのかもしれない。
⑦ザ・ギース「銀行強盗」 81点
(審査員: 設楽88 日村87 三村80 大竹88 松本85)
発想は今大会の出演者で一番良かった。
それは、劇的ビフォーアフターだと判明した瞬間の、会場のウケにも現れていた。
また、7年かけてこの勝負ネタを手に入れたザ・ギースの努力を想像すると、感動すら覚えた。
ただ、それだけにどうしても思わざるを得なかったのは、「あと1年このネタを練れば、もっと良い伏線回収が見つかったんじゃないか」ということ。
生まれ変わったコントでの驚きが期待よりも少なく、結果的に「ビフォーアフターだと分かった時点」がネタのピークになってしまった。
特に「動線を確保」「収納を有効活用」などは、単にビフォーアフターに合わせただけのボケで、綺麗ではあるが面白くなかったのが残念だった。
発想力だけで80点を超えたのは流石だったが、なんともはや。
⑧ロッチ「試着室」 81点
(審査員: 設楽90 日村96 三村98 大竹98 松本96)
結論から言うと、私はそんなにハマらなかった。
笑いの玄人(プロの審査員含む)的に言うと、「『次どう裏切るねん』に対して、毎回同じボケを繰り出すという裏切り(=予定調和の笑い)」があり、レベルが高いということなのだろう。
私は正直、様々な方向で裏切ってくれる方が、よほど良かった。
この手の笑いを、私は未だにわからない(2011年の2700「キリンスマッシュ」もそうだった)。
多分、そのレベルには至れていないのだろうと思う。
⑨アキナ「鳥」 82点
(審査員: 設楽89 日村88 三村83 大竹90 松本87)
アキナの真骨頂とも言える、ブラックなネタ。
悪いと思わなかったが、「鳥やん」という大きな笑いの構造を基本として、もっと沢山ボケがあれば良かった。
そういえば昔、元祖爆笑王さんが書いた「漫才入門 ウケる笑いの作り方、ぜんぶ教えます」という本(普通芸人が語らないような漫才の基本知識が沢山書いてあり、ますだおかだ・ナイツも推薦している本。少し下にリンクを掲載)を読んだことがあった。
その時、以下のようなことが書いてあった。
・漫才は「あるある」→「ありそう」→「なしなし」の順にボケを重ねて作っていく。
それを思い出すと、今回のアキナのネタは「鳥のせいでライブに行けなかった男が、鳥の尻をぼんじりと言う」という、「ありそう」レベルのボケで終わってしまっていた。
これを「なしなし」レベルのボケまで持っていければ、より完成度が上がり、少なくとも前回大会の「とれへん」級のネタに昇華できたのではないか。
ちなみに審査員は「エンジンがかかるのが遅い」と言っていたが、それもボケの広がりが少なかった一因だろう(ボケを詰め込む時間が足りなかったと解釈できるから)。
⑩巨匠「寿司屋」 82点
(審査員: 設楽87 日村89 三村81 大竹91 松本80)
ボケの岡野の雰囲気だけで面白い。
罪人が足を固められてるという事から始まる「恐怖発信の笑い」で、個人的には好きな種類の笑いだった。
ただ、これもアキナと同じだが、ボケに幅広さがほしかった。
「日本で重罪人が足を固められる」という時点で「なしなし」のボケは投下できているのだが、そのボケのみを「あるもの」として受け入れた場合、その後のボケは全部「ありそう」の範疇に収まっていた。
審査員の松本人志は「この設定でいくならもっと面白くないとダメ」と言っていたが、その辺のボケの単調さが得点にも影響したのかもしれない。
■続き(ファイナルステージ)
キングオブコント2015 感想&個人的採点③(ジャングルポケット、藤崎マーケット、バンビーノ、コロコロチキチキペッパーズ、ロッチ)
■その他の賞レースの感想
お笑い賞レース 感想&個人的採点まとめ