※参考までに、記事末尾にプロの審査員の評価も記載しています。
Aブロック (ルシファー吉岡、カニササレアヤコ、おいでやす小田、おぐ)
①ルシファー吉岡「父と息子」 88点
決して悪くはなかったが、「トップバッター」「早い時間帯での下(よりの)ネタ」「笑いのピーク(生姜をおかずにしてるのか)が前半」という3要素により、客席の盛り上がりに欠けたように思う。
また、オチ(しょうが…ないってことで。)もインパクトが弱かったか。
そもそも、なぜこのネタをチョイスしたのか、理解に苦しむ。
一昨年・昨年のR-1ぐらんぷりを見る限り、ルシファーは下よりのネタでなくても、他に良いネタが絶対あるはずだ。
過去2年で大爆発を起こしてくれていたからこそ、今年は期待しており、その分落胆も大きかった。
基準の85点にトップハンデ+3点をいれての88点とする。
②カニササレアヤコ「平安貴族」 88点
決勝進出者が発表された時から話題になっていたが、「現役のOLが出る」ということですごく楽しみにしていた。
そしていざネタを見てみると、確かに「専業芸人を差し置いて、決勝に選ばれるべき斬新さ」がそこにはあった。
一方で、「新しい笑いの方程式」までは見出せなかったように思う(結果として新しかったのは、「平安時代をテーマにした」という部分のみ)。
ただこれは、私が勝手にダークホースに期待しすぎただけかもしれない。
さて別の観点で言うと、最初のものまねがピークで、その後ショートコント・あるあると続くに従い、笑いが減衰していったのは厳しかった。
ただ、これは致し方ないかもしれない。
というのも彼女は知名度がほぼ0であるため、1ネタ目でつまづこうものなら、即座に「面白くない人」だと判断され、お客さんが離れてしまうリスクがあったからだ。
そのため、ツカミや前半に重きを置いたのは頷ける。
これから実績が重なれば、後半に向けてビルドアップしていくネタも披露できるだろう。
③おいでやす小田「ホテルマン」 85点
暖房をガンガンに上げるあたりから一気に盛り上がりかけ、まさに「これからどうなるんだ?」というところだったのに、唐突に終わった印象を受けた。
これはかなり残念だった。正直、あれだと物足りない!
もっと尾崎さんとの絡みが見たかった。
なお構成以外の点に着目すると、1人コントでホテルマンという設定は斬新だったので良かったと思う。
また演技力も流石で、見入ってしまうことも否めなかった。
ただ、肝心の「面白いか」という点で、(先述の「強制終了的な感じ」も要因の1つだろうが)疑問符がつく結果だった。
④おぐ「入れ替わり」 90点
一言で言うと、感動してしまった。
この感動は二重の意味を含んでいて、コントの内容(ハゲにもいい人いるんだ!)もさることながら、「君の名は」を全体のテーマとしてネタに昇華させていたことにも心を打たれた。
後者については、これまで数々の芸人がチャレンジしてきたと思うが、賞レースの決勝に残るものは誰も作り上げられていなかったので、その意味で彼は第一人者になったと考える。
また、しっかり一言ずつ、狙ったところで笑いをとっていたのも高評価だった。そして、オチもきっちりハマっていた。
ということで私としては、Aブロックは文句なく “おぐ” が一番でした。
ちなみにプロの審査員の評価は以下の通りです(1人3票制、視聴者投票もあり)。
1. おぐ 11票(関根2 久本1 陣内3 ヒロミ2 視聴者3)
2. おいでやす小田 6票(文枝2 久本2 視聴者2)
3. カニササレアヤコ 3票(文枝1 ヒロミ1 視聴者1)
4. ルシファー吉岡 1票(関根1)
(余談)
正直、Aブロックはネタが豊富にある芸人ほど悩ましい(勝ち上がりにくい)のではないかと思う。
というのも番組前半なので、スタンダードなネタが求められる(番組構成的にも、客席の笑い的にも)一方、勝ち上がるためにはニッチな要素で大爆発を起こさなければならないと考えるからだ。
ネタがない芸人であれば、準決勝を勝ち上がったネタで勝負するしかないため逆に開き直れるが、なまじネタがある芸人は、スタンダードとニッチの狭間で中途半端なネタをチョイスしてしまうリスクが高まる。
今回、ルシファー吉岡とおいでやす小田はそれにハマっていたように思えた。
■続き
R-1ぐらんぷり2018 感想&個人的採点② (河邑ミク、チョコレートプラネット長田、ゆりやんレトリィバァ、霜降り明星 せいや)
■その他の賞レースの感想
お笑い賞レース 感想&個人的採点まとめ