書評

最底辺の10億人(ポール・コリアー/著)の感想

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最底辺の10億人(ポール・コリアー/著, 中谷和男/訳, 2008年)を読みました。

その感想を書いてみたいと思います。

 
<本の概要>
世界の国々は、先進国と開発途上国とで大きく二分されるが、開発途上国の中で特に貧しい国々が存在している。

開発途上国の中でも「最底辺の10億人が住む国々」の開発は停滞(もしくは後退)しており、この問題は世界経済の成長によって自動的に解決されるものではない。

本書には、この問題を解決するための目標を策定するために、どのような考え方が必要なのかが記されている。
 

<感想>
私は、この本を読んで大きく3つの事を感じました。

① 単なる資金援助は効果が少ない、もしくは逆効果
② 紛争(後)に他国からの軍事介入されることは、最底辺の国々にとって有益な場合がある
③ 最底辺の国々自身が、関税障壁を撤廃することが望ましい

以下、①~③の補足をしていきます。
 
 
① 単なる資金援助は効果が少ない、もしくは逆効果

私はこれまで、貧しい国々のために寄付をするということについて、その効果を真剣に考えてみたことがありませんでした。

そのため、自分が過去に行った寄付を効果のあるものだと疑っていませんでしたし、「寄付によって世界がより良くなればいい」と単純に考えていました。
 

しかし、本書中には以下のような内容が記されており、「本当に効果のある援助とは資金提供ではなく、その国が成長を遂げるための政策に対する支援(例: ノウハウ提供)なのでは」と考えるようになりました。

・単純な資金援助の場合、本当にそれを必要とする人に渡る前に、権力者が着服してしまう可能性がある。

・援助を受けるのが当たり前になった国は、豊富な天然資源を見つけた国と同じ状態になり、新たな輸出品目をグローバル市場に参入させることが困難になる(詳細は「オランダ病」で調べてみてください)。

・諸問題を解決する上で、援助はあくまで1つの手段にすぎない。他に、安全保障・法と憲章・貿易にアプローチしていくなどの別の手段がある。

ただし、援助の全てが効果がないわけではなく、内陸国への援助については「(外の世界と貿易ができず)最低限のものすら手に入らない」という状態を解消するためにも行われる必要がある、という内容も記されていました。


 
② 紛争(後)に他国からの軍事介入されることは、最底辺の国々にとって有益な場合がある。

紛争(後)に他国が軍事介入することは、治安の確立に貢献する場合があり、具体例としてシエラレオネに対するイギリス軍の介入(Operation Palliser)が挙げられていました。

この背景として、「紛争後に自国政府が独力で治安維持をする」ことに関しては、治安が維持されないどころか逆に問題となる可能性がある、ということも触れられていました(説明は省略)。

私は、これまで軍事介入に良いイメージを持っていませんでした(民間人が死亡することがあるため)が、軍事介入により治安の確立や民主化が進むことがあると考えられるようになり、一概に「軍事介入=悪」とは言えないと感じました。

 
③ 最底辺の国々自身が、関税障壁を撤廃することが望ましい

実は「最底辺の国々自身が設定している関税障壁が、汚職の源泉になっている場合がある」と本書は指摘します。

例えば、関税障壁によって以下のような状況が発生すると記されています。

・親族が勤めていたり、賄賂を払うような起業を優遇することができる。

・税関吏がその国ではとても良い職業とされているため、その職業につくための賄賂が存在する。

私自身は、この問題はその国だけで解決するのは難しいのでは?と考えます。

なぜなら、関税障壁によって恩恵を受けるのはその国の権力者であることが多く、その甘い蜜を自ら手放したりはしないと思われるからです(よほどの良心と頭脳を持った人が権力につかない限りは)。

そのため、他国からの施策(経済制裁など?)により、その国が関税を低くせざるを得ない状況を作る必要があると思いました。

 
以上が感想となります。

日本で暮らしていると思いもよらない状況が記されているため、「こういう状況の国々もあるんだ」という学びが大きかったです。

是非手にとって頂ければと思います。
 

 

 

kanren_kijishita



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